心理学の博士で、サンフランシスコのメンロパーク長老教会の主任牧師であるジョン・オートバーグ (John Ortberg)牧師は、感謝して生きる人に与えられる人生の幸福についてこのように語ります。
　「感謝することは、人生を贈物として感じる力(ability to experience life as a gift)です。感謝は自己執着の牢屋から私たちを解放してくれます(liberate you from the prison of self-preoccupation)。」
　人は感謝する心を持って生きる時、もっと長生きできるそうです。イギリスの神経科学者であり、精神科の医者であるデビット・レヴィーン(David Levene)によると、感謝を表すことを習慣化した人の方が、そうでない人よりも良い健康状態となり、長く人生を生きることができると言います。
　感謝する心は脳内に変化を起こします。まるで違法薬物や性行為のように、人の脳の快楽中枢を活性化させるそうです。神経の繋がりを拡大し、幸福に関わるホルモンの分泌を助けるため、寿命に関わる主な要因になるとのことです。
　感謝する心と健康には因果関係があり、感謝によって生じる体への益はたくさんあります。感謝しながら生きる時、心拍数、血圧、血糖の数値は減り、免疫力は上がるそうです。認知能力は向上し、不眠症と慢性疼痛は緩和されて、心臓病、糖尿病、がん、生活習慣病などのリスクを軽減するとのことです。
　精神的な益も多くあるそうです。鬱と不安、心配などを緩和するだけでなく、怒り、嫉妬などを抑制することにより、自分と他人を許す心の余裕を持つことができるようになります。
　感謝できるということは、人生の理を悟る精神力であり、精神的弾力性なのです。感謝することは自分と他人を共に大切にする経験的な学習技術であり、精神的な健康の触媒になると言えるでしょう。感謝する心は健康につながると言えます。
　ですから具体的には、一日に３つずつ、感謝の言葉を書いたり、毎日誰かに感謝のカードを送ることを勧めます。幸せな人生は自分の選択にかかっていることを忘れないでください。
　モーセとアロンに対して不平を言いながら敵対していたコラのような人々は、自分の欲望による不平不満を聞いて同調してくれる人を探し求め、集めます。彼らは不満に満ちた人生を伝染させて隣人の人生までをも滅ぼし尽くしました。
　今までも牧場で感謝を分かち合ってきたと思いますが、これからもっと積極的に感謝を表しましょう。そして自分と隣人がもっと幸せな人生になることを願います。

趙 南洙師