私は集中力の高い方がうらやましいです。時間の管理が上手な方はさらにうらやましいです。私は何をするにしても、準備に多くの時間がかかるような気がします。30分なら終わるはずのことも2時間かかる場合もあります。それは、集中力が続かないからだと思います。

だから説教を準備する時もたくさんの時間がかかります。説教の枠組みが絞られたら、原稿を書けば良いだけだと思いますが、実際の始まりはそれからです。集中が続かないからです。説教原稿を書いている途中で誰かの顔が浮かぶと電話をかけて安否を尋ねたり、新着メールがないか確認したりします。こうして説教準備をしているので、時間がかからない訳がありません。

私にとって土曜日は最も圧迫感を感じる日です。やむを得ず土曜日に外部の奉仕や教会の行事が重なったり、あるいは急な来客があったりする場合には、説教準備をまともにするのが難しくなります。

土曜日は説教準備を完了しなければならない日なので、心の負担も大きいものです。遅くとも土曜日の午前中までには週報作成のために牧師コラムと説教題、聖書箇所、新聖歌を指定し、事務所の国武姉に教えなければなりません。ところが、ある日は説教題を何度も変えるハプニングもあり、国武姉を慌てさせることもあります。

集中できない時は、礼拝堂の階段を何度も上り下りし、Awanaクラブに来た教会学校の子どもたちの姿をしばらく眺めたりもします。すると「説教準備がうまく行ってないんだな」と妻が読み取って席を外し、外出してくれます。

「偉大な芸術作品には創造の苦悩が入るものだ。決められた時間内に造られたなら、それは商品であって、芸術なのか？　説教も芸術作品のようで、無駄に見える時間も絶対に必要なものだ。そうであっても、そうでなくとも」ある先輩のことばを覚え、土曜日であるにもかかわらず集中できない私自身を慰めつつ、さまよったりもします。

大学を卒業し、神学生時代から早い段階で説教者になったので、約40年間を説教して来ましたが、毎主日の説教がなぜこんなに難しいのかわかりません。問題は集中力です。ある時には１時間だけで説教が完成することもあるからです。足りない牧師の霊性、深い集中力のためにお祈りください。